Leica M10 3年目のレビュー

前書き
Leica M10を購入したのが2017年末
購入してからおそよ900日経った

2018年3月から同年11月まではは海外でM10でスナップを撮った
インドの砂嵐の砂漠からマレーシアの豪雨のジャングルでも

何故3年目レビューが必要か
前回のM10レビュー「9ヶ月目のレビュー」の記事が最近になって月間1万程のアクセスを記録し、M10-P、M10 M、M10-Rが登場した事によりM10の価格が下がりきった今、Leica関連のレビューの需要が増えてきたのではないだろうか
耐久性や購入してからのメンテナンス記録、レンズとの相性などコンテンツは豊富なのでそろそろ3年目レビューを書こうと思う


外装(カスタムについて)
(カスタムといっても個人でできる範囲)
購入時のM10は当然の如くブラッククロームだった
そこから外装を研磨、ロゴバッジを黒に変更、貼り革も変えた

現在の躯体はテカテカのブラウン
貼革はグレーだったが色が落ちて茶色味が増した
少しでも面を触ると指紋が付いてしまうのが大きな欠点だが、M10にオリジナリティを付与できたのは大きい


画質評価
M10はM型デジカメの中ではトップの解像度を誇る
しかし、SonyのαやNikonのZなどの最新国産フルサイズミラーレス機との比較ではダイナミックレンジにまだ大きな差がある、ISO感度耐性も1段以上劣っている
さらには同じレンズでM10とZ6の比較をしましたがPCモニタ上ではZ6の方が画質が良かった
年代的には3、4年前の24MPフルサイズセンサーと同じような性能だと思う

が、それを踏まえてもう値段に対して妥当なセンサー性能だと思う
M10なら「まあこんなもんでしょ」って思える
最近登場したM10-Rが解像度番長な気がするがSL2とバッティングしそう、一体どんな人が買うのだろうか

現状、24MPで不足があると言う声はあまり聞かないが、強いて言えばISO感度耐性があと1段ぐらい向上してくれればいいのに、と思う事はある
f3.5やf4クラスだと夜間のスナップでISO6400辺りを多用するのでモノクロでもない限りカラーノイズが目立つ

私は基本的にRAWのみでしか撮影しない
なので現像処理は必須
そういえばM10を買った時にAdobe CCが半年間使えるコードが付属してきた

M10のJpeg画質は独特の色味
特に夜のスナップはハイライトが粘らず、シアン被りもする

WBは概ね正確な色再現性
白すぎることもなく、その場の雰囲気がよく再現させている



その他
他にも使っていて気になった部分

ドライブモード
シングルか2sタイマーしか使わない

JPEG設定
M10のJpeg設定はアバウトすぎるところが好印象
彩度、コントラスト、シャープネスの各項目は強、中、弱の3種類のみ 
 
Wifi
iPad ProとSDリーダーを使っているのでほぼ使わない、使っても非常に遅い

フレームセレクター
そういえば半年以上触ってないかも
でも無いと寂しい

耐久性
M10は一回修理に出している
シャッターボタンが反応しなくなってしまったのだ
壊れる前からシャッターボタンフィーリングが悪いなと思っていたがある日シャッターが切れなくなってしまった
銀座のストアに持ち込んだところ、中にゴミが入り込んでいるそう
清掃修理で6万円飛んだ

思えば買ってから一度も大きなトラブルは無かった
半年以上海外の過酷な環境で使い、日本でも雨だろうが関係なく使用してた
確実に平均以上の耐久性はある

残念なポイント
バッテリーが持たない
真面目にスナップを撮ろうとすると半日しか持たない

シンクロ接点が無い
これはデカイかもしれない
外付けのEVFをつけるとホットシューの接点が死んでしまう

修理が高い
上にも書いたように清掃しただけで6万円持ってかれるカメラはLeicaぐらいだろう
その金額が軽く払える覚悟が無いとLeicaは所持できない、あとLeica Japanの対応はイマイチ

ファインダーのゴミ
ファインダーに塵が入りやすい
撮影に支障がないレベルだが国産一眼レフならもう少しまとも

シャッター音が大きい
M10-Pのシャッター音は本当に静かなのだがM10(無印)はそこそこの音量
2m離れていても静かな環境なら被写体に気付かれてしまう
よく「M10はシャッター音が静か」と書かれた記事を見かけるがSony αやNikonZの方が圧倒的に静かだと思う

なんだかんだで目立つ
研磨しちゃった自分が悪いのだがテカテカのカメラなので当然の様に目立つ

価格が高い
安かったら興醒めなところはあるがやっぱり高い
M10は購入時、アクセサリー等含めて100万円を軽く超えた
最近車の購入を検討しているのだが400万円の車を見て「カメラ4台分か...」と思う様になってしまった
よく考えたら自分の頭悪すぎる
趣味用のカメラ4台で車1台ってどんな金銭感覚してるんだ

私なりの使い方
M10の主な用途はスナップ撮影
夜はストロボ1灯でスナップポートを撮影する
↑FUJIFILMのEF-X20  M型にベストマッチ
↑ PERAR 21/4.5


海外ではM10を常に携帯し、スナップ撮影からロケハン時の記録写真も撮影していた

↑持ち歩いていたカメラバッグと中身
C Biogon 28と35 7Artisanの50
↑7Artisans  50/1.1
↑C Biogon 35/2.8
三脚に据えたセットアップな決め打ちにも使う
スナップっぽい探し方の風景写真
↑ Summilux 50/1.4
↑Summilux 50/1.4
↑ TTArtisan 35/1.4 停電していた街で撮影


そもそもM10はコンパクトなフルサイズミラーレスカメラ
登山などに最適なカメラかもしれない
山でM型を首から下げてる人間はまずいない
↑ TTArtisan 35/1.4
↑ ISM 50/1.0


アクセサリー
前回の記事で色々紹介したが全部外した
残ったのはレリーズボタンのみ
最終的に一番使いやすいのは裸の状態だと思う

ストラップはCL用の細い物をグレーに染色して使っている
3年も使ってると油が染み込み使いやすくなる

あれから増えたレンズ
借り物だったり手放したレンズも多いがレビューしたレンズを一覧にした

・Leica


・ZIESS


・Voigtländer


・MS-Optical

・7Artisans、TTArtisan


作例


M10で撮った写真をFPS視点動画にしてみた
レンズはいずれもSummilux 50ASPH
↑新宿にて
↑渋谷にて
↑スタジオにて
スタジオポートレートも撮れなくはない



最近思うLeicaの良さ
車やPC、スマホやテレビに至る全ての製品はターゲット層が設定されている

カメラ界のオールラウンダーと呼ばれたCanon 5DmarkⅡはスタジオ等の広告業界から風景写真界まで幅広く活躍した

オールラウンダー機はどのジャンルでも当たり障りの無い性能を誇る
その時代の技術の全てをバランス良く搭載したカメラは「良いカメラ」であり「優等生」だった

が、これは時間経過と共に見劣りしてしまう

仕方がない事で、デジタルカメラが登場して間もなくは「1000万画素」は超高画質だったし、連写も秒間6コマ撮影出来れば超高速だった
今となってはミドルクラスカメラでは3000万画素クラスは当たり前、電子シャッターなら秒間15コマはエントリー機種でも搭載される

カメラは時間と共に全ての面において進化がある
全ての性能をやや高い次元でバランスさせた優等生的オールラウンダー機は時代の変化には全く逆らえない、現行機と比べて古さを感じさせるようになる

その中で尖ったカメラが光る
Leicaのような尖ったカメラだ
今時のデジタルカメラでAF非搭載のレンジファインダーを採用したカメラ
1954年からデジタルとなった現在でも同じマウントを採用し続ける後方互換性の高さ
ここで書く「尖った」とは基本性能以外の秀でた部分のこと


車で例えるとGT-Rで、
家族でも乗れる乗用車でありながら世界最速レベルの走行性能、そんな車は現在でも数少なく、当然値段は高い

上に書いた「家族でも乗れる」というのは筆者の体験談で幼少期、家の車はR33だった
後部座席にはチャイルドシートが2つそれを母が運転しスーパーに買い物へ行く、当時としては当たり前の光景だったが、今となっては異常な思い出だ

話を戻して、
同じLeicaでも、Leica M9やLeica M等の画質はそれぞれが濃いキャラクターだった
M10が登場した今日でもM9のファンは多い
最新機種こそ最高のカメラとなりやすい国産一眼メーカーとはそこが違う

↑新宿にて Summilux 50ASPH


尖ったカメラは時代を超えて尖り続ける

いつかは全く新しい技術やユーザーの変化により丸くなるものの、比較対象が存在しないので目立たなくなる事は少ない
なぜ高いか、何が凄いのか、みたいな部分に言及する記事はあまり見かけないが、M型レンジファインダーという部分が無くならない限り、魅力は尽きない

そんなカメラがLeicaだと思う





(2020/7/28 内容更新)

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